「お話の世界へようこそ」 開設について
群読グループ 田崎浩子
2020年から始まったコロナ禍で、ひびきのイベントの大半が中止されました。
群読グループも活動自粛になり、視覚障害者の皆様との交流の機会も無くなりました。
そんな中、私たちの活動を楽しみにしてくださっているリスナーの方から、「ひびき
では、朗読したものをネットで流せないか。そうすれば、私たちも楽しむことが出来る
から」とのお声をいただきました。
そこで、今回ホームページに「お話の世界へようこそ」というタイトルで載せていただ
くよう準備を進めてまいりました。
皆様にお楽しみいただければ幸いです。
「雪女」 小泉八雲作 田部隆次訳
雪女の起源は古く、室町時代末期の「宗祇諸国物語」には既に
伝承があったことが記されている。
呼び方は違えど、常に「死」を表す白装束を身にまとい、男に
冷たい息を吹きかけて凍死させたりし、広く「雪の妖怪」とし
て怖れられていた。
今回は、小泉八雲の「怪談」に収録された「雪女」を石川綾子
が朗読しました。
「注文の多い料理店」 宮沢賢治 作
宮沢賢治の作品の中で、面白さと分かりやすさ、意外な結末へ
導く巧みさでとても人気のあるものです。
朗読に際し、書かれている文字を 機械がしゃべっているように
したり、2人の紳士の性格を声だけで表現したりと工夫しました。
「ざしきぼっこの話」 宮沢賢治 作
賢治の故郷、岩手に伝わる ざしきぼっこ のふしぎな話を4つ、 賢治が聞き書きのようにしてまとめた童話です。季節の変化と
岩手の風土を見事な色調でとらえます。
朗読は中津原悦子です。
「野ばら」 小川未明 作
国境の石碑を守るため、両方の国から派遣されてきた老人と青年でしたが、いつしか二人の心の絆は固く結ばれていきます。けれども戦争によりその絆は絶たれてしまいます。
大正9年に書かれたこの作品は「おとぎばなし野ばら」のタイトルで発表されました。
作品の書かれた背景を踏まえると第1次世界大戦は終わりましたが、日本はシベリア出兵、中国反日・反帝国主義運動、ロシアで起きた日本人虐殺事件など、アジアにおいて不安定な情勢におかれていました。
このような時代背景の中、小川未明は、戦争の無い平和な世の中を願うべく「野ばら」という作品を書き上げたのでしょう。
「十三夜」 樋口一葉 著
旧暦十三夜の月見の晩を背景とする物語。
澄みきった月光に包まれる夜の上野周辺を舞台としている。
役人 原田勇の妻お関は、嫁入りして七年になる ある十三夜の
夜更け、たった一人で上野新坂下にある実家、斉藤家を訪れる。
いつもの晴れがましい黒塗りの抱え車での訪問と異なるのは、
お関の胸にある決心があったからであった。
平成21年1月に録音したものです。
配役 語り・母親 服部幸子
お関 峰岸欣子
父親・車夫 田崎浩子
フルート演奏はひびき会員のお嬢さん 遠藤淳子さんにお願い
しました。
「鼓くらべ」
加賀百万石の城下町金沢を舞台に、鼓を打つ才能は人一倍優れてはいるが、勝ち気で驕ったところのある一人の少女が謎の老絵師と出会い、その交流を通してどのように心の変化が起こっていったか。真の芸術とはどうあるべきか。
情緒あふれる、見事な筆致でえがかれた、心に響く山本周五郎の世界を存分にお楽しみください。